道ひとすじ (2015年 思い出の一冊)


明けましておめでとうございます。昨年も色々と自費出版の仕事をさせていただきましたが、思い出の一冊はこの「道ひとすじ」です。
著者の従二喜一さんから一枚のハガキをいただいたのは2014年の夏でした。「人生も終盤になりこれまでのこれまでの歩みを記録として残したいので手伝って欲しい。」との趣旨です。

早速お会いしお話をお聞きしたところ、自分史を書きたいがどこから書き出したら良いのか、どうゆう風に原稿を用意すれば良いのか皆目見当がつかないと仰います。
従二さんは大正15年生まれの89歳。私の父と同じ歳です。現役時代は公立高校の校長をしておられた教育者ですが、さすがにこのお年になられると記憶も直ぐには呼び出せないですね。
ということで当社制作の自分史ノート(質問に答えていくと自分史が出来上がるノート)をご購入いただき、自分史執筆のチャレンジがスタートしました。

その後3ヶ月に1度くらい連絡を取りながらアドバイスをさせていただきましたが、持病が悪化し入院、中断となってしまいました。容態を心配しながらも1年が経過したころ、「新薬が体にあったのか容態が良くなり退院した」と嬉しいお電話をいただきました。そして中断していた自分史も再開したいと。ただ自分で書く元気が無くなったらしく、改めて聴き取りで原稿を起こしました。9月の下旬から10月まで7回×2時間の口述筆記です。また表紙の写真(能登半島宇出津田ノ浦湾)は弊社のスタッフが撮影に行き、本文中のお墓などの写真は私が珠洲まで行って撮影してきました。

そして11月は編集と校正。本来なら校正を楽しまれるところでしたが、聴き取りが終わって気が抜けたのか肺炎にかかり入院。ベットでの校正となってしまいました。本の完成はクリスマスプレゼントですねと申し上げると、お正月に家族に読んでもらえると喜んでくださいました。ところが12月17日金沢に初雪が降った日、奥様からのお電話は訃報でした。完成した本を手に取ることもなく他界されてしまい残念でなりません。今思えば、「出来上がるまでは絶対死ねない」と冗談を仰っていたのが現実となりました。自分史を書き上げることが命を保つ大きなエネルギーになっていたのですね。しかしながら、なんとか通夜の1時間前に完成し祭壇に献本し参列者に配ることができたので、故人もきっと喜んでくれたと思います。

本の内容は、子供ができず家督を守ることができない叔父(従二)の養子に行くことが生前から決まっていたこと。高校教師としてのエピソード、叙勲の思い出など90年の歴史がしっかりと記されており、家族の宝になったはずです。
従二さん、本当に有難うございました。