冬の竹群(ふゆのたけむら)・自費出版

手に取って見ていただけないのが残念。

久しぶりに歌集の出版を手掛けました。冬の竹群。この歌集は旧国鉄の鉄道マン、荒家信一氏(新歌人社)の遺歌集です。今年の2月26日、荒家氏のご友人Y氏から「歌集の出版を考えているので相談にのってほしい」とお電話をいただきました。

早速ご来社いただきお話しをお聞きすると、昨年急逝されたご友人の遺歌集とのこと。新家氏は非常に優秀な歌人なので、その作品がこのまま埋もれてしまうのがあまりにも惜しい、故人に代わって出版したいとお聞きし、その友情と心意気に感動しました。

作品を拝見すると素人目にも、繊細な中にも鉄道マンらしい力強さと独特の視点が伺えるすばらしい作品が並べられていたのです。これは良い作品になると予感。私はわくわくしY氏とともに加賀にお住まいのご婦人をお訪ねし、遺歌集をまとめる許可を頂きました。そしてY氏が選歌、新歌人社の主宰である尾沢清量氏の校閲のもと本日出版に至ったのです。

また今回一番苦労し思い出深い仕事になったのが装丁。故人の歌仲間であり加賀友禅の作家である「由水十久氏」が自ら手掛けられました。色々な構想のもと最終的には歌集名にもなった「おおかたは面伏す日々を耐えつつ男というのは冬の竹群」のイメージからデザインされました。ホームページの写真レベルでは十分に伝わりませんが印刷が良く分かる方のために仕様を記しておきます。

カバー絵:実際の竹林を写真にとりソラリゼーションなど写真加工をして冬の竹群を表現

カバー色:友禅の薄い紫がかった白(雪)の色をDIC2197で表現。

カバー用紙:NTほそおりスノーホワイト<130>

カバータイトル:黒のエナメル箔押し 印刷の黒とは違う力強さがあります。

表紙色:中国の伝統色・鉄紺(ティエチン)DIC C278を2度刷り。黒に近い深みのある紺に仕上げ最終工程でマットニスをひきテカリを抑えています。この色は古来中国では千里を駆ける黒馬の艶やかな毛並みの色とされてきたそうです。運転士だった故人のイメージを表現するために何度も色校正を重ねて出した色合いです。

表紙用紙:モデラトーンGA<110>

最後に荒家氏の代表作を2首

白い尻ひからせながらたまねぎがみちのくの野に吊られていたり

短歌(うた)よ、うた如何な読み手と遭おうとてもそは汝(な)がため読み手うらむな

思い出深い作品に関わらせていただいた皆様に感謝です。